発達障害のキソ知識~ASD編③~
- サポート教室かたつむり
- 2021年11月21日
- 読了時間: 4分

「発達障害」
よく耳にするけれど、何となくしかわからない・・・
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
知っているようで知らない?身近な障害「発達障害」について、一緒に学んでみませんか?

「発達障害」とは、生まれつき脳のはたらき方が通常と違うために、幼少時から特異な行動や特徴が見られる状態のことです。
主に
・ASD(自閉スペクトラム症)
・ADHD(注意欠如多動症)
・SLD(限局性学習症)
の3つを指すことが多いですが、他にも、
・DCD(発達性協調運動障害)
・チック障害
を含むこともあります。
今回は、これらのうち、ASD(自閉スペクトラム症)について紹介していきます!
今までの投稿ではASDの概要や症状について紹介しました。
ASD(自閉スペクトラム症)とは、
*生まれつきの脳の機能障害で、発達障害の一つ
*遺伝や環境など、多数の要因が複雑に絡み合って発症する
障害で、
*コミュニケーションの難しさ
*こだわり
*感覚のかたより
など、多様な症状を見せることを解説しています。
詳しくは、今までの投稿をご覧ください。
さて、今回は、ASDの歴史について紹介していきます。
なんで歴史?とお思いかもしれませんが、歴史を知ると今まで感じていた「なんかよくわからない」が解決するかも!?
というのも、ASDについて説明すると必ず出てくる質問、
「自閉症とか、アスペルガーとか、高機能とか、広汎性発達障害とか、スペクトラムとか…
なんだかいろいろ名前があってよくわからない!」
という混乱は、歴史を知ることで整理できる部分もあるからです。
ASDの歴史は、1943年に始まります。
アメリカの精神科医レオ・カナーが、言葉でのコミュニケーションや社会的なやりとりが難しく、優れた記憶力を持ち、同じ行動を繰り返すなどの、特有の症状をもつ11名の子どもたちについて報告しました。
当初、カナー医師はこれらの子どもたちについて、「母親の養育態度の影響により、幼児期に統合失調症を発症した」というような考え方をしていたようです。
翌1944年、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーは、共感能力がなく一方的に会話をし、特定の興味に没頭するなどの症状をもつ4名の子どもたちについて報告をしました。
アスペルガー医師は、これらの子どもたちの症状を、一種の人格障害と考えていたようです。
カナー医師の報告と、アスペルガー医師の報告は、その後何十年にもわたって議論を巻き起こしました。
カナー医師の報告した症例と、アスペルガー医師が報告した症例は、どう違うの?
この症状は、小児期の統合失調症なの?人格障害なの?それとも違うの?
何が原因でこの症状が起こるの?
つまり、「自閉症とは何か」ということが、いろいろな角度から研究され始めたのです。
さまざまな研究がされ、たくさんの研究結果が報告されました。時代が進むと、遺伝子や脳の機能を研究して、それまでわからなかったこともわかるようになってきました。
そうやって、「自閉症とは何か」を、ああでもないこうでもない、と考えていく中で、その時々の考え方を反映した名前が生まれていきました。
・カナー型自閉症
・古典的自閉症
・小児自閉症
・非定型自閉症
・アスペルガー症候群
・高機能自閉症
・広汎性発達障害
・・・などです。
現在、日本で使われているASD関連の名称は、次の2つの「辞書」に載っているものです。
1つめは、アメリカ精神医学会が出している「精神疾患の診断・統計マニュアル(第5版)」、通称DSM-5です。DSM-5では、ASD関連の疾患を細かく分類するのではなく、「自閉スペクトラム症(ASD)」とまとめて記載しています。
・細かく分類された疾患の間に、明確な違いがあるといえるだけの研究結果がないこと
・細かく分類することが、事実上不可能であること
から、それまでされていた細かい分類が廃止されました。
2つめは、WHO(世界保健機関)が出している「国際疾病分類(第10版)」、通称ICD-10です。ICD-10では、大きい分類としては「広汎性発達障害」、その中でさらに「小児自閉症」「アスペルガー症候群」「非定型自閉症」などに分類されています。
*ICD-10は、近い将来、第11版「ICD-11」に改訂されることになっています。このICD-11では、DSM-5と同じく「自閉スペクトラム症」に統一されます。
いかがでしたか?
ASDはまだまだわからないことも多い障害。これからも研究が進むことで、「ASDとは何か」について、また新たな側面が見えてくるかもしれませんね!
次回は「ASDかもと思ったら?」について解説していきます。
ぜひ、ご覧くださいね!
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