発達障害のキソ知識〜ASD編⑦〜
- サポート教室かたつむり
- 2021年12月20日
- 読了時間: 4分

「発達障害」
よく耳にするけれど、何となくしかわからない・・・
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
知っているようで知らない?身近な障害「発達障害」について、一緒に学んでみませんか?

「発達障害」とは、生まれつき脳のはたらき方が通常と違うために、幼少時から特異な行動や特徴が見られる状態のことです。
主に
・ASD(自閉スペクトラム症)
・ADHD(注意欠如多動症)
・SLD(限局性学習症)
の3つを指すことが多いですが、他にも、
・DCD(発達性協調運動障害)
・チック障害
を含むこともあります。
今回は、これらのうち、ASD(自閉スペクトラム症)について紹介していきます!
*今までの投稿まとめ*
<概要>
ASD(自閉スペクトラム症)とは、生まれつきの脳の機能障害で、発達障害の一つです。発症の原因はまだわかっていませんが、遺伝や環境など、多数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
<症状>
ASDは、「コミュニケーションの難しさ」「こだわり」「感覚のかたより」など、多様な症状を見せます。症状の現れ方は十人十色で、同じ症状の人は二人としていないともいえるでしょう。
<歴史>
ASDは1943年のカナーの報告、1944年のアスペルガーの報告以来、いろいろな角度から研究されてきました。近年では、ASD関連の疾患を細かく分類するのではなく、「自閉スペクトラム症(ASD)」とまとめて呼ぶことが多くなってきました。
<ASDかもと思ったら?>
・相談する
園や学校の先生・公的相談機関・かかりつけ病院・専門病院 など
・今できることをする
情報をまとめる・かかわり方を変える など
<ASD支援の基本:SPELLの原則>
ASD支援では、次のことを大切に考えます。
・Structure(構造化する)
・Positive(肯定的に)
・Empathy(共感する)
・Low arousal(穏やかに)
・Links(つながる)
<ASDの支援方法:TEACCH>
TEACCHでは、ASD児者の行動を文化として捉え、ASD児者が適応し、自立し、QOLを上げられるように、次のような手法で支援します。
・物理的構造化
・個別のスケジュール化
・ワークシステム
・視覚的構造化
今回は、ASDの支援方法「ABA」についてご紹介します!
ABAは
Applied Behavior Analysis (訳:応用行動分析)
の頭文字をとった名称です。
ABAとは、人間の行動を分析し、そこでわかったことを実際の問題に応用していく方法のことです。この方法は、心理学者スキナーの「行動分析学」を土台にしています。
<ABAの考え方①:「個人」にも「環境」にもアプローチする>
それまでの心理学では、人の行動の理由は、その人個人の中にあると考えられていました。しかし、ABAでは、行動を「個人」と「環境」の相互作用によって生まれるものと考えます。

そのため、行動を変えようとするときには、「個人」に対してのアプローチだけではなく、「環境」に対してのアプローチも考えていきます。
例えば、「ごみを床に捨てる」という行動があったとしましょう。
この場合、個人に対してのアプローチとしては、
「ごみはゴミ箱に捨てるように教える」
という方法が考えられるかもしれません。
一方、環境に対してのアプローチとしては、
「ゴミ箱をたくさん置いて、すぐにごみを捨てられるようにする」
というような方法が考えられます。
個人に対してだけでなく、環境に対してもアプローチすることで、相互作用によって生まれる行動を変えていくのです。
<ABAの考え方②:行動の目的をとらえる>
その行動は、何のために起こったのでしょうか?行動には目的があります。行動は、何かの目的を達成するために起こったのです。
ABAでは、行動について分析する際、その目的についてもとらえます。一般的に、問題行動の目的は次の4つだと言われています。
① 要求を叶えたい
何かがほしい・何かがやりたいなど、自分の要求を叶えることが目的です
② 嫌なことを避けたい
何かをしたくない・何かをやめてほしいなど、自分にとって嫌なことを回避・阻止することが目的です。
③ 注目してほしい
親や先生など、周囲の人に注目してもらうことが目的です。
④ 感覚がほしい
その行動で得られる感覚そのものが目的になっています。
<ABAの考え方③:枠組みを使って行動を理解する>
ABAでは、行動を理解する際に「ABC分析」という枠組みを使って、行動を整理します。
ABCとは、
Antecedent(先行事象)
Behavior(行動)
Consequence(後続事象)
の頭文字をとったもので、それぞれ「行動が起こる前の状況」「対象者の行動」「行動の結果」を表します。

例えば、「スーパーでお菓子をねだって泣く」という行動の場合は、このようになります。
・A(行動が起こる前の状況)・・・スーパーに行く
・B(対象者の行動) ・・・泣く
・C(行動の結果) ・・・お菓子が買ってもらえる
こうやって整理することで、
・環境の影響・・・スーパーでお菓子を目にする
・行動の目的・・・要求(お菓子がほしい)を叶える
がわかりやすくなるのです。
では、行動について分析できたところで、どうアプローチしていけば良いのでしょう?
次回は、行動を変えるための具体的な方法についてご紹介します。ぜひ、ご覧くださいね!
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