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発達障害のキソ知識〜ADHD編⑤〜

  • 執筆者の写真: サポート教室かたつむり
    サポート教室かたつむり
  • 2022年2月21日
  • 読了時間: 5分

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「発達障害」

よく耳にするけれど、何となくしかわからない・・・

という方もいらっしゃるのではないでしょうか?


知っているようで知らない?身近な障害「発達障害」について、一緒に学んでみませんか?




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「発達障害」とは、生まれつき脳のはたらき方が通常と違うために、幼少時から特異な行動や特徴が見られる状態のことです。


主に


・ASD(自閉スペクトラム症)

・ADHD(注意欠如多動症)

・SLD(限局性学習症)


の3つを指すことが多いですが、他にも、


・DCD(発達性協調運動障害)

・チック障害


を含むこともあります。


今回は、これらのうち、ADHD(注意欠如多動症)について紹介していきます!




*今までの投稿まとめ*


<概要>

 ADHD(注意欠如多動症)とは、生まれつきの脳の機能障害で、発達障害の一つです。発症の原因はまだわかっていませんが、遺伝や環境など、多数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。


<症状>

 ADHDは、「多動性」「衝動性」「不注意」などの症状を見せます。年齢が幼いうちは「多動性」「衝動性」の症状が目立ちますが、年齢が上がるとともに「多動性」「衝動性」の症状は目立たなくなり、相対的に「不注意」の症状が目立つことが多くみられます。


<歴史>

 約2500年も前から、ADHDのような症状をもつ人については報告されていましたが、精神的な障害の一つであると認識されたのは1960年代のこと。その後もADHDについての認識は更新されていき、2000年頃からは現在のように「不注意優勢型」「多動性衝動性優勢型」「混合型」のタイプがあると考えられています。


<ADHDかもと思ったら?>

・相談する

 園や学校の先生・公的相談機関・かかりつけ病院・専門病院 など

・今できることをする

 情報をまとめる・環境を整える・かかわり方を変える など




今回からは、具体的な支援方法についてご紹介します!



今回紹介するのは「環境の工夫」です。


ADHDの支援において、環境の工夫はあなどってはならない、大切な支援!

どうして、環境の工夫が大切なのでしょう?


<理由1:困りごとを減らせるから!>

 多動性や衝動性、不注意など、ADHDの特性は、日常生活において「困った!」を引き起こしがちです。環境の工夫をすることで、こういった困りごとを減らすことができます。


<理由2:本来の力を発揮できるから!>

 自分に合っていない環境で過ごしていると、ADHDの人は本来持っているはずの力を存分に発揮できないことがあります。自分に合った環境になるよう工夫すると、本来の力を発揮することができます。


<理由3:二次障害を防げるから!>

 日常生活で失敗を重ねてしまったり、なかなか思うように力を発揮できないでいたりすると、二次的にうつ病などの気分障害や睡眠障害などの問題が出てくることがあります。環境の工夫をすることで「うまく」生活できていると、二次障害を起こしにくくなります。






それでは、具体的にはどのような工夫をすれば良いのでしょう?


環境の工夫のしかたは、一人ひとりに合わせて変わりますが、具体例をいくつかご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。



<具体例1:危険を防ぐ工夫>

 ADHDの人は、衝動的に動いてしまうため、危険な行動をとってしまうことがあります。特に、低年齢のうちは、衝動性が高く、危険も分かりにくいため、注意が必要です。

 危険を防ぐ工夫では、まず、危険な行動が起こらない(起こりにくい)環境を作ることを考えます。また、仮に危険な行動が起こってしまっても大丈夫なようにします。


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例えば・・・


・階段や台所には、ベビーゲートや柵を取りつける

・窓に転落防止柵や補助鍵を取りつける

・窓の近くやベランダに、踏み台になるものを置かない

・扉の、子どもの手が届かない高さに、鍵を取りつける

・危険なもの(火気・熱いもの・刃物など)を手の届かない場所や鍵つきの場所にしまう

・外出時は迷子ひも(ハーネス)や迷子ふだを活用する


などが考えられます。



<具体例2:「困った」を防ぐ>

 ADHDの人は、気が散りやすかったり不注意だったりするために、日常生活でうまくいかなかったり失敗してしまったりすることが起きやすくなります。

 「困った」を防ぐ工夫では、物事をうまく進めるために、時には便利なツールを使いながら対処していきます。


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例えば・・・


・アラームやタイマーを活用する

 (キッチンタイマー、タイムタイマー、スマホアプリなど)

・カレンダーやスケジュール帳、スケジュールアプリなどを活用する

・忘れ物防止タグや捜索アプリ、ウォレットチェーンなどを活用する

・メモや付箋、貼り紙、手順書、やることリストや持ち物リストなどを活用する

・待つ場所・並ぶ場所を視覚的に示す(足型・地面に円を描く・フラフープなど)


などが考えられます。



<具体例3:本来の力を発揮する>

 自分に合っていない環境の中では、ADHDの人は本来持っているはずの力を発揮できないことがあります。環境を整えると、本来の力を発揮することができます。

 力を発揮するための工夫では、「情報を減らすこと」と「情報を整理すること」が重要です。


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例えば・・・


・仕切りやついたてを活用する

・耳栓やイヤーマフを活用する

・気になるものは見えない位置に遠ざけておく

 (背を向ける、見えない場所にしまう、隣の部屋に置くなd)

・掲示物を減らす

・書類やプリントの一部を下敷きで隠したり、プリントを折り曲げたりして、今必要な部分以外は目に入らないようにする


などが考えられます。




ADHDの特性をなくすことはできませんが、環境の工夫をすることで、ADHDの特性による「困った」を減らすことはできます。


できることから一つずつ、その人がその人らしく輝けるような環境を作っていきませんか?





いかがでしたか?


次回は、「かかわり方の工夫」についてご紹介します。

ぜひ、ご覧くださいね!

 
 
 

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